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映画『アイミタガイ』って、原作とどう違うの?じんわり感動を深掘り!

1.そもそも『アイミタガイ』ってどんな話?

「アイミタガイ」という耳慣れない響き。この映画のタイトルは、古語の「相身互い」に由来する。「同じような境遇の者が、互いに助け合う」という意味だ。現代社会において、この言葉が持つ温かさは、どこか忘れ去られようとしているのではないか。見知らぬ誰かとの繋がり、ささやかな善意が連鎖し、誰かの人生を照らす。2024年11月1日に公開されたこの作品は、主演の黒木華を迎え、そんな人間ドラマを静かに、しかし力強く描き出す。

 

2.原作小説と映画、誕生までの道のり

原作は、中條ていの同名小説(2013年発表)。斎藤緑雨文化賞長編小説賞を受賞したこの作品は、連作短編集という形式を取る。独立した5つの物語が、微かに、しかし確実に繋がり、読者は後になってその繋がりを知る。その構成は、パズルのピースが組み合わさるような知的興奮をもたらす。

 

映画化を熱望したのは、故・佐々部清監督(『半落ち』)。脚本の骨組みを作り、その遺志を草野翔吾監督(『彼女が好きなものは』)が引き継いだ。市井昌秀も脚本を手掛け、複数のクリエイターの思いが結集。10年もの間、映画化の企画が温められたという事実は、作品に込められた情熱の深さを物語る。舞台となった三重県桑名市は佐々部監督の故郷であり、監督の地元愛も感じられる。

 

3.映画で大きく変わったところ、ここがポイント!

映画は、原作の連作短編を大胆に再構成している。黒木華演じるウェディングプランナー、秋村梓を物語の「縦軸」として据え、彼女が親友・叶海の死を受け入れられず、トーク画面にメッセージを送り続けるという設定を設けた。この映画オリジナルの設定が、人々の繋がりを生み出す。

 

原作の5つの短編のうち、「ハートブレイク・ライダー」を除く4つを組み合わせ、梓を中心に物語を再構築。バラバラだったピースがハマっていく感覚は、映画ならではの体験だ。例えば、原作では梓は「蔓草」のヒロインだが、ウェディングプランナーという設定は別の短編の脇役のものだった。映画では、この設定が梓に与えられ、物語に奥行きを与えている。

 

梓と叶海の高校時代の友情、二人でピアノを聴いた思い出、梓の恋人である澄人(中村蒼)が訪れる宝飾店など、映画オリジナルのエピソードが多数追加。ラストシーンでの「既読」は、原作にはない映画ならではの演出であり、観客の感情を揺さぶる。

 

4.賛否両論?映画『アイミタガイ』をめぐる声

映画は、原作から構成やエピソードを大きく変えているにもかかわらず、書評家からは「観た印象は原作通り」という声も上がっている。これは、原作が持つ「相身互い」のテーマを、映画がしっかりと受け継ぎ、より明確にした結果だろう。

 

「映画として綺麗にまとまりすぎている」「派手さはない」という意見もある。しかし、それは、現代社会で忘れがちな「人との繋がり」や「優しさ」を丁寧に描いていることの裏返しでもある。

 

「観客を泣かせるための演出が目立つ」という指摘もあるが、多くの観客は「泣いた」「感動した」「人に優しくしたくなった」と感想を述べている。映画の「泣ける」ポイントは、押しつけがましさではなく、心に沁み入る優しさからくるものだ。「登場人物に悪い人が出てこない」点も、観客に心地よい鑑賞体験を与え、好意的に受け止められている。

 

5.これからの『アイミタガイ』、そして邦画の未来は?

映画『アイミタガイ』の成功は、連作短編小説の映画化における新しい可能性を示唆している。複数の独立した物語を一本の軸で繋ぎ合わせ、テーマ性を明確にするという手法は、今後のヒューマンドラマに影響を与えるかもしれない。「全てがつながる爽快感と感動」は、観客の心に強く響いた。

 

現時点では、続編やスピンオフの具体的な企画は発表されていない。しかし、U-NEXTではメイキングやインタビューを収めた「エピソード0」が配信されており、作品の世界をさらに深く知ることができる。映画が描いた「善意の連鎖」が、現実世界にも広がり、新たな物語を生むことを期待したい。

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