映画『護られなかった者たちへ』動画を無料でフル視聴！NetflixやHulu/Amazonプライムで配信してる？

イスト

30代男性

「護られなかった者たちへ」は、中山七里の同名小説を映画化した瀬々敬久監督の最新作です。「東日本大震災」という日本を揺るがした災害と「生活保護」という日本が抱える問題を軸に、生きる事の難しさや残酷さを描いた凄まじい映画です。佐藤健演じる主人公 利根は、避難所で自らに親切にしてくれた女性を護ることが出来なかった後悔をずっと抱えながら生きているのですが、その姿は見ているだけで苦しくなります。佐藤健は「るろうに剣心」など大作のイメージが強いですが、表情や演技で繊細な心理描写を表現できる凄い役者だと思います。そして、阿部寛演じる震災で愛する家族を護ることが出来なかった笘篠も、同じく過去に囚われながら生きています。愛する者を護れなかった二人を通して物語は展開していきますが、生活保護というデリケートな問題ゆえに何が正しいのか、何が間違っているのか、この映画のテーマは誰にも分かりません。ただ、この映画を観て僕は愛する人と過ごせるかけがえのない時間を今まで以上に大切にしなきゃいけないと強く感じました。

昇

40代男性

震災の津波からにげ遅れた人と助かった人の紙一重の差の話は体験談で聴いたことがあります。繋いでいた手が離れて目の前で流されていった肉親と目が合ったけど何もできなかった、という話でした。利根の心に巣食う黄色いジャンパーの子どもの最期がどれ程苦しみとなっていたのかと想像したら気持ちが重苦しくなりました。そして震災の被災者の一部は生活保護という手続きにおいても苦しむ運命が待っていたということを知り、制度というものの線引きによって残酷に切り捨てられてしまったケイさんの姿は印象的でした。カンちゃんの気持ちは解るような気がしますし同情します。でも、犯罪を犯すことは何があってもダメなのです。行き場のない怒りのようなもやもやした気持ちがありました。

koji

40代男性

「どんでん返しの帝王」の異名を持つ中山七里さんが原作です。東日本大震災から数年後の仙台が舞台となっており、そこで起こる不可解な連続猟奇殺人を巡って巻き起こる事件を描きます。刑事役に阿部寛。容疑者役に佐藤健さんが出演しています。中山七里さんが書くミステリなので、そこにはどんでん返しがあるわけですが、そこで明かされる真実には、けして謎解きによる爽快感はありません。なにしろテーマが「生活保護」なので、話はどうしても暗く、陰鬱になっていきます。社会保障制度の中でも「生活保護」という制度には明るいイメージがありません。勤勉が美徳であった日本社会にとっては、何もしなくてもお金がもらえる、という見方が一般的でしょう。たしかに不正受給という事実もありますが、それを防ぐために本来護られなければならない人々に生活保護が渡らないというのは、本末転倒です。この部分を考えてもらいたくて、この作品は作られたといっても過言ではないと思います。こういった考えさせられる映画も、時には見ておくべきでしょう。

練って卵

40代男性

ある意味復興というものを感じられる作品であり、10年目の節目を越えた東日本大震災の当時の記憶も新しい人々は未だに生きている。この震災から数年しか経っていない頃にもしこの作品が作られていたのなら、ある一定人数や多くの被災した人達から非難の声が轟々と上がってしまうかもしれない。そういった声が上がってこなかったのは10年という節目の年を越えたからであろう。ある意味この作品を作れることができたというのは、東日本大震災から人々が徐々に解放されていっているからだと感じられる。話の内容も少々シリアスでありフィクションではあるが、連続殺人事件とこれまた死と直結するようなお話でもあるので、辛い経験を蘇らす恐れがあるからだ。

kojikoji0912

40代男性

私がこの映画を見ての感想は、本当の悪人はこの映画の中ではいなかったという感想でした、東日本大震災で被災にあった3人が肩を寄せ合って震災後暮らしていてそんな中で老婆が餓死で死んでいったという話でした、私は生活保護がどういう仕組みでもらえれるかどうかはわかりませんでしたけどこの映画で知りましたその老婆は若いころに離婚をして子供がいたのですが何十年も音信不通でその子供も母親がいるかどうかもわからないという状況で子供には迷惑がかけられないから生活保護の申請を取り下げた結果餓死をしましたその対応に不信を持った女性が当時生活保護の職員を殺害するという悲しい話です、その職員も生活保護が本当に誰か頼る人がいれば生活保護を受けてもらいたくないという感じで悪意はないものでした実際に不正受給をしている人がたくさんいたのでこういう扱いそしたという結果でした。ですから本当の悪人はいないんだなという感想です。

ゆん

30代女性

人は人とのつながりの中で生きていることを実感させられる。いまあるつながりが断ち切れたとしても、また新たなつながりが、自然と生まれると安心させてくれる。目の前のことに気をとられ、ひたすら日々の生活を頑張ったとしても、予期せぬところから、思わぬ結果を招くこともある。つながりは、喜び、悲しみ、楽しさ、さみしさなど色んな感情を湧かせる出来事を運んできてくれる。私たちは、その出来事を受け取ることで次に進んでいける。良いことも悪いことも含めて。そして、何があってもつながりは生まれ続け、喜びや悲しみがあふれてくる。しかし、そのことが分かってさえいれば何も怖くない。避けて逃げる必要もない。ただ受け入れて、楽しいときはその様に、悲しいときはその様に、自分の感情を出せばいい。そんな許しを与えてくれる作品でした。

F_SATO

30代男性

この社会に存在する「闇」を、椅子にくくりつけられ餓死させられるという奇妙な猟奇殺人の真相を追いながら、暴いていきます。特徴的なのは、2011年の東日本大震災で辛い経験した、苫篠と利根、二人の男の過去と現在を行き来しながら、物語が進む所です。殺害されたのは福祉センターで「生活保護担当」の三雲、刑事の笘篠は、三雲の部下だった円山という女性と行動を共にし、「生活保護の実態」を目の当たりにします。明らかに生活が困難にもかかわらず「規則」として保護を打ち切られ途方に暮れる人、逆に、かたくなにそれを受け入れない人、物語ではありますが、このような問題は実際に起きているそうで、物語の根幹となっています。第二の事件が発生し、三雲の元上司の城之内が殺害され、二人と接点のある、利根の名が上がります。彼は、過去に生活保護に関し被害者達と揉め、施設に放火していました。震災後の利根の回想で、天涯孤独の彼と、同様に独り身の老人けい、身寄りのないカンちゃんという少女の共同生活が描かれます。暗く重たい作品の中で、暖かみのあるシーンですが、この結末はあまりにも悲劇的です。容疑者となった利根の第三の犯行を阻止するため、笘篠は二人の被害者と同僚だった上崎という男を警護します。追う笘篠、追われる利根、スリリングなシーンが、映画の後半を盛り上げます。笘篠、利根、円山は、震災直後にすでに同じ場所ですれ違っており、散りばめられた過去と現在のシーンが、少しづつ繋がって行く過程がとても見事で、次々明らかになる事実の意外性を強調します。「理不尽な政策」に対し警鐘を鳴らし、震災からの完全復興をしていない事実を気付かせ、人の持つ「負の感情」や「苦悩」を見事に「映画」として表現する瀬々敬久監督の硬派な世界観でありながら、阿部寛の頼れる刑事の大人の風格や、佐藤健の重たいオーラを放つ演技は素晴らしく、朝ドラで活躍したばかりの清原果耶のキャスティングも嬉しく、多くの人達に受け入れやすい印象の一本に仕上がっています。

ノエル

30代男性

非常に面白い作品でコロナで貧困に陥る人が多い中こそ観るべき作品になっている。生活保護行政についてウィキペディアでも良いので少しだけ調べて行った方がより理解が深まるし、作品は感情移入できると思う。日本政府は生活保護の受給額を減らそうとしているが、手っ取り早い方法は受給をさせなければいいだけ。となると、受給をさせなかって役所を評価するシステムだけ作ればあとは役人が無慈悲にジャッジを下して受給額はおのずと減っていく。本当にお金が必要な人にお金が行き渡らない。その矛盾をこの映画は鋭くえぐっている。楽しい作品ではないが、今の緊縮財政が続くといずれ自分の身にも貧困がやってくる、そして政府は助けてくれない。悲しい映画。